フィギャーノートは使わない/板谷みきょう
 

狐面を頭に付けて
ギター片手に唄っていたボクは
そのホテルへ行き
トイレ内でステージ衣装に着替えて
時間を見計らって
歓迎レセプション会場入口に身を潜めた

開会挨拶から続く挨拶に挨拶の後に
司会者が言った
「暫くの間、ご歓談下さい。」
その言葉を切っ掛けに会場に乱入し
ステージに上がって
ステージ前の関係者席に座ってる
スーツ姿の唖然とした顔を見ながら

「ようこそ初めまして
板谷みきょうと申します。」
そう言うと直ぐ一曲歌い始めて
歌い終わると
「有難うございました。」と一礼して
"唄い逃げ"
会場出口に向かって走った


[次のページ]
戻る   Point(2)