花畑(3)/吉岡ペペロ
 
 中学にあがってはじめての夏休みが終わり二学期が始まると、ぼくは和夫くんと帰り道を一緒にしなくなった。喧嘩をしたわけではない。和夫くんが喧嘩をするはずがない。ぼくが和夫くんを嫌いになるはずもない。
 和夫くんが石をぶつけらるようになったからだ。
 去年の秋、和夫くんの不思議を見た日、ぼくがお寺の門を出てすぐにぶつかった男は、やはり和夫くんのお父さんの若い弟子だった。
 あのあとすぐ、男は文字通り唾を吐いて和夫くんのお父さんのもとを去った。色情問題をおこして和夫くんのお父さんにいさめられると、改心するどころか信者に罵詈雑言をあびせかけてお寺を出ていったのだ。
 お母さんからその話を聞いたとき
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