花畑(1)/吉岡ペペロ
和夫くんは幼い頃から股関節を患っていた。
学校の帰り道、ぼくは和夫くんと歩くようにしていた。
和夫くんは高名な宗教家の息子さんで学校でも人望があった。和夫くんが松葉づえをつきながらすたすたと歩いていく。ぼくのほうがあとをついていく。
前方に同級生たちが立ちはだかっていた。いつものことだ。ぼくを待ち伏せして意地悪をするのだ。ぼくは和夫くんにぴたっと寄り添う。
「また和夫といっしょかあ」
和夫くんとだと石を投げられることがなかった。
「またあしたね」
和夫くんがそう言うと彼らは道をあけた。それでもひとりが横からぼくを蹴ってきた。
ぼくははや歩きになった。和夫くんを押すよう
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