春眠暁を求めず/木屋 亞万
 


丹精込めた料理を踏みつけ
歴史ある物を粉砕する
刺激と憎悪で炙り出された世界を

あらわになった怒りだけが
本性だと信じ込む

やさしいはずだったものが
すべて剥され捨てられる

やわらかい空気を探して
鼻がもがいている

私の中にある汚い粒は
焼いても焼いても消えなくて
顔はしみだらけになった

鏡をみるたび濃くなる隈と
鋭さを失っていく顎の輪郭
呼吸は浅く少し苦しい

何もせずとも
部屋に埃がつもり
身体が少しずつ汚れていく
清潔に保つことに疲れて

今日も力尽きて眠る
明日はもう来なくていい
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