見晴らし/葉leaf
 
言葉を論理的に遡って
事件を因果的に遡って
高峰をどこまでも降りてきて
たどり着いた地の淵からは
すべてを見晴るかすことができた
こんなにも低く視界が遮られていても
推論の糸をたどり
因果を厳密に駆動し
経路を精密に洗い出せば
すべてを把握することができる
僕はとっくに目が見えない
目はあらゆる惨劇に焼き尽くされた
この地上のすべての根拠となる
地の淵の深い底辺にあって
僕は論理と因果の新しいまなこを見開き
すっくと立ちあがっては
風景とは別の見晴らしを眼中に収め
風とは別の流れに身を吹かれている
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