母よ/藤鈴呼
 

三軒隣りの家まで
全て巻き込んだような どでかい虹に
たっくさんの夢を
詰め込んだら 

吐き気がした

ねぇ 御母ちゃん 
もう お腹いっぱいだよって
呟くけれど 許してくれない

御母ちゃんの 御母ちゃんが 
丹精こめた 米粒だから
たとえ 一粒たりとも 
残しては いけません

よもや 残すまじ
もはや 残すなんて 
選択肢は ナンセンス

洗濯機を回しながら 
釣り目の貴女が 微笑むから
ワタクシは 下を向く

ぶくぶくぶく
白い泡とともに
言いたい台詞ばかりを
いつも飲みこんでは 吐き散らかす

父のように
好き勝手には 生
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