ヒトクイバナの心/あおい満月
 
イモノハ)
花には本当は感情などない。
けれど、何故人なのか。
わからないまま生きてきた。
ごろごろごろごろ ごろごろごろごろ
(血肉デハナク細胞ナノダ)
彼女は本当は人間の脳が食べたい。
人間の脳細胞にひそむ、
愛情や憎しみ、希望や失望の味を、
飲み干したくて堪らない。
彼女には友だちはいなかった。
愛されたかったのだ、心から。

ごろごろごろごろ ごろごろごろごろ
今日も湿った深い森の奥から
彼女の喉を鳴らす音が響く。
ごろごろごろごろ ごろごろごろごろ
愛される時を待つ孤独なブルースが。



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