散歩/草野大悟
 
帰宅途中、車の中から
ぷよぷよ太った老犬が
ぶくぶく太った青年を
散歩させているのを見た。

老犬は青年を気遣うように
時々立ち止まり
引くひもをゆるめ
よたよたと歩く青年を
振り返っていた。


おそらくふたりは
おさな友だちで
青年が少年のころから
老犬が幼犬のころから
とてもとても仲が良くて
いつもふたりで
歩いてきたのだろう。


満月の中へ
消えてゆくふたりを見ながら
ふとそんなことを
思った。







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