朝の詩学/葉leaf
 
かのような、そのような時刻で、朝も昼も夜も一堂に会して交互に支配権を譲り合う。
 この未熟な時刻こそ、人間が世界に介入することが許された時刻なのだ。世界の厳密な構成が完璧に人間を排斥する昼間、人間は世界の厚い皮の奥に入り込むことができない。世界の表皮がいまだに薄く、湿度を帯び、次々とほかの時刻に浸食されている朝という時刻こそ、世界の深奥に踏み込むことができる。世界とはただの浅瀬かもしれぬ。だが浅瀬を掘り起こすと更なる岩盤があり、掘削すると何から何まで出てくる。この朝という創造的な時刻、人は世界をひたすら掘削する。

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