白い花/もり
 


握られた拳のなかに

「コブキの花だよ」

白い花

ふたりが 手をつなぐ日は くるか

逃げたことで

ひたすらに逃げたことで

皮肉にも また向き合ってしまって

出会ってしまったふたり

送られてきた 写真

「あなたが植えた、水仙の花だよ」

「あなたが植えてくれたんだって、
喜んでいたよ」

思い出す

蚯蚓の世界を侵略した日

雑草のように生きたいと願ったあの日

そうして詩を書いたんだったね

そういや あのときも逃げてたね





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