新任地/葉leaf
遠くに並んでいた劇の数々が
間近でにわかに動き始める
近くで私を統括していた原理が
いくつもの山の彼方に拡散する
遠さの中にはいつでも近さがあった
人のためにするという行為の目的が
純化され当然化されるこの地においては
人々はみな穏やかな目と口で
政争で小心を恐々とさせている
怯えた表情はどこにも見当たらない
みんな心に余分なポケットをたくさん持っている
入居できるまでの間の
片道2時間のバス通勤に疲れた身で
慣れない仕事で膨れ上がりながらも
自らの底辺に安定した一直線が引かれたのを感じる
全てはこの直線から始まる
静かな面持ちで自らと社会を凝視する
業とも使命とも呼べる図形が描かれ始めた
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