ゆいちゃん/04
 
初日に 薬指 前歯の裾野は愛しく、私の毛細をいたぶっていたわって
ふりかえって 斜に構えた 真四角に切り取られた、寂しい目をしているインフレイム

「だった」「だった」「だった」旅路の瞬間みたい 心臓の薄鳴りみたい 二つの細胞みたい
過去ではないみたい 未来でもない 間も無く「た」に食べられた

むせ返るくだぎつねは 何も吐き出せなくて 自分の細長さをほそぼそ一句詠む
その内に喉の内側の丸みに 5も7も5も尖ったり曲がっているので 腫れちゃった
思いついている筈なのに そこで青黒く痛んでいる

僕の中の感慨は浅く 近く まばらな温度だ
情熱は沸騰して そのうち空に粒々として、海に旅立ち
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