みどり うたかた ?/木立 悟
木のかけらと
あたたかい水が
午後と夜の境いめに
蒼い浪となり流れ込む
錆は子らの名をくちずさみ
鉱は荒れ野に伏している
陽を転がす指や指
流れの内に華やいでいる
重なるもののつらなりと
置き去られるひとりの隔たりが
雨音のように互いにかがやき
星と星のはざまを埋める
美しさも醜さもなく
ただ忘れ難さだけがあり
岩の村をすぎてゆく
音の服を着た子の見つめるほうへ
水底を流れる四角い泡が
空を緑になぞりつづける
河口にわだかまる小さな羽
浪の下の 光の径
死んでしまった子どもたちが
何も言わず微笑みなが
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