さくらがい/あおい満月
いた。
そこには、あの少女がいた。
仲良しだったYちゃん。
でも彼女は、
卒業してすぐに、
交通事故で亡くなった。
何故、彼女が夢に出てきて、
しかも私の左手小指を噛んだのか。
Yちゃんはいつも、
私の左手の小指を羨ましがっていた。
(Fちゃんの小指、サクラガイみたい)
そういって、
私の小指にピンクのマニュキアを
塗ってくれた。
Yちゃんが噛みついたということは、
死んでもなお、繋がっていたいという
魂のサインだったのではと、
私は感じている。
後日、私はYちゃんの眠る墓を訪ねた。
墓石に水をやり、手を合わせて
Yちゃんと対話した。
そのあとに見上げた空は、
桜色をしていた。
その向こうに私はかすかに、
七色の虹を見たのだ。
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