のどぼとけ×時間×エクスペリメント/高橋良幸
2月末、祖母の納骨式。仙台市青葉区中山に向かうバスが電子音声でぎこちなく次の停留所をアナウンスする。続けて紹介されるクリニックか何かの広告は人の声の録音だった。割安で電子音声の広告枠を用意したら需要はあるだろうか。昼を過ぎて、それでも雪が降りそうな気温の中、お寺を待たせていた叔父が小走りで戻ってきた。骨壷から取り出した袋のどこかに、のどぼとけがある。墓石を閉じて、読経が始まる。ほとけの教えが骨をふるわせる。焼香が済んで、帰る坊さんへ心付けを渡しに、叔父がまた小走りであとを追いかけて行った。お寺の車が汚いことには意味があるのだ。
3月になって、渡し忘れていた香典を送った。札幌からではなくて、長
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