闇を背負う人/
夜雨
僕は知っている
満月の夜
梟の声響く夜半過ぎに
一の社の榧の古木は
封じられた記憶、取り戻し
社裏の小さな瀬に
小さく泡立つ冷たい流れに
月の光は毀れ落ちては千々に碎けて
白銀(しろがね)の鍵となる
そして獣道の向こう
山影は境界となり
扉が開く
お帰り
闇を背負う人
君の背負うものの重さが
今、降り注ぐ月の光に融けてゆくよ
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