肯定/葉leaf
辛うじて復職した。
だが、復職といっても新しい環境に行くわけではなく、同じ職場に戻っただけなので、事情を知った人間による心無い口撃は少なくなかった。私の人間性も疑われ、回復の道のりはノイズの混じった困難なものだった。
そうしてようやく心の闇から抜け出し、霧が晴れたころ、年度末となった。帰りの電車に乗りながら、不意に「俺は今年頑張ったぞ!」と叫びたくなった。社会では一人で生きていかねばならぬ。組織でトラブルがあってそれでも組織に残る場合、他人からの助けには限界があり、あとはすべて挫けない心で自ら回復を促すしかない。私は精いっぱい頑張って、無事異動も決まった。そう思うと涙が流れた。
年度が明けると同時に長い夜が明けようとしていた。夜明けは肯定の時刻。私は困難を乗り越えた自分の努力を肯定し、そこには夜明けの光が差してきたのだった。
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