ひとりでだいじょうぶなように/竜門勇気
顎がはずれるほど泣いた夜に
向こうばっかり気になる自分と暮らしてる
奴はタバコを僕に差し出した
それは彼の敬意の終わりだった
追いかけられて
二つは一つに
夢は川と繋がってる
何か一つだけ
上手にできればな
何もかも下手くそに
なりながら手袋と死んでいく
ビールの出来損ないを
投げつけた
読み終わった漫画を
投げつけた
ドアの内側でそいつらが
砕ける音を聞いているんだ
あ-
なにかひとつでも
うまくできればなあ
誰よりもうまくできてるって
思えればなあ
空き缶が
幻想とハミングしてる
そのメロディが
ずっといつまでも
聞こえないふりをするんだ
そのメロディは
なにか
ぼくの弱い部分に関わってるんだ
主義主義者が騒いで
そのメロディだけ
触れないで
弱いものなんて見たくなかったんだろ?
そのメロディなんて
容れ物すら
持たなかっただろ?
ふたりから産まれ
ひとりで消える
泣きながら呼吸を始めて
諦めた顔をしてそれを止める
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