夢をみる/はるな
おなじ夢をみる。
地下、暖かいイメージ、職員室の裏側にある保健室、せまいなかにぎっしりつめられたベッド、シーツ、まくらとまくらカバー、小人みたいな先生。彼女は走っていく、校庭や道や草はらなんかを、転ばない。裏地のついたスカートを履いている、貞操は背中のかばんに入っている、髪の毛は、結ばないまま、うしろへ思いきりなびいている。べこべこした上ばきを履かされている。すぐに誰もいなくなる、誰も、先生も、群衆も、彼女も。そのすべてを暖かいイメージがゆるぎなく包んでいる。
起きて、走りつかれた脚をすこし揉む。手のひらが汗ばんでいる。でも、髪の毛はつめたく、まっすぐにのびている。逃げてきたとも帰ってきたとも思う、そして考える、どこからなのかどこになのか、誰がなのか。ときどき体のむきをかえて、眠れるまで。そしてまたきっとおなじ夢をみる。
戻る 編 削 Point(1)