桜の木の奇妙な実/花形新次
 
現実から目を背けて
ぬるま湯のような仮想世界に
安住する人は
大体が現実から
全く相手にされないか
心底手酷い目に合って
ボロボロに心を病んでいるので
私のように醜い現実を拡張して
ぬるま湯を煮えたぎる熱湯か
はたまた凍りつくような冷水に
変えてやろうとする者を
毛虫のように嫌う
しかし、どちらが真実を語っているかは
一目瞭然なので
彼らは私に毒づいたあと
やがて静かにフェードアウトし
最後には
桜の木の枝に奇妙な実を付ける

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