賽の河原/イナエ
久し振りに訪れた賽の河原
幼子が鬼に虐められていないかと降り立てば
広々とした河原には鬼が一匹 所在曲げに石をつんでいた
おめえ 何やってんだ
子どもが少ないが
まさか食っちまったのではないだろうな
ああ びっくらこいた
なんや お地蔵さんかいな やっとか目やなも
食っただなんて 人聞きの悪い
そんなことできませんわ
まあ 聞いとくりゃせ
あそこに一人で石積みしとる子のことやがなも
親に殴り殺されとか言うことやけど
なんもしゃべらんで ひとりで石積んどるがな
不憫で 不憫で見とられんわな
なんと 鬼の目にも涙かよ
そんな冗談い
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