異動/葉leaf
げられてしまった。君は外界の音楽を受けてよく響く弦だったが、君を強く振るわすのはもっぱら暗い音楽ばかりだった。君は無機的な機関であり、紛糾した有機体に取り込まれるのを硬く拒んだが、君を救うのもまた有機的な混沌以外ありえなかった。人々の揺れ動く表情との表情の交わし合いは、君の同一性をなす外界との低い均衡を攪乱するものだった。
君はただ、君を超え出る一歩を見つけ出せばいい。君は可能性の中に囚われたアンドロイドではない。君に呼び掛けているものたち、仲間たち、先輩たち、世界、そういうものに我を忘れて必死に応えようとすること、そのことでいつの間にか君は君の限界を超出していくだろう。独房など小さく丸めて捨て去ればいい、君の新しく広がった大海の奥深くへ。君は苦悩する才能を持ち合わせている、苦悩によって自らを外へ展開していくのだ。仕事は辛いだけのものではなく、君が豊饒に応答していくものとして、君の人生に色鮮やかな意味たちを与えてくれるだろう。君がその一歩を見出すための、一つの成熟はきっと明日にでもやってくる。内的に健闘せよ!黎明はまず君の眼光として外界を照らし始める。
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