異動/葉leaf
――W.H.へ
君は潮が引くのを待つことも、陽が照るのを待つこともしなかった。待つということの志向性に耐えられず、すべての志向性を持たない凝縮した点だった。求めるにも訴えるにも君はまだ草の花のように若く、その独房がいまだに君の終着点だった。だが君の独房は宙に浮いていて、強い風を受けては大きく揺らぎ、注がれるまなざしに君は恐怖した。君の中心は無によって支配され、そこに強靭な主体の幹が育つにはいくつものパラダイム・シフトが必要だった。
いつか君は氾濫し、反乱するだろう。純粋さが一つのあかるい罪であることを君はとっくに振り切り、降りしきる黒雨に内臓や骨格まで染め上げら
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