プレーンソング/ねことら
晴れた日のガラス質が緊密で、冴え冴えと町にいる。無地のシャツ、明るいグリーンのパンツ。ぼくもきみも、ちっぽけな鉄の棒みたいな、腕力や暴力と無縁な体格をしている。ストーリー。少年プラス少女の。とてものどが渇いていた。お気に入りの猫のマークがついた保冷バッグにペットボトルを入れ、代わる代わるに唇を濡らした。この町は右折するばかりで、花屋の看板は見るたび色が変わってしまう。まぼろし。
ぼくらは春になれば冬を忘れた。春はつぶせば虫みたいだ、ゆかいと剣呑と、包帯を巻いても、巻かれた下でエッチなことをしても、いまは春だから、といえばゆるされた。絵や文を売って日銭を得て、1000円をかせいでは
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