朝の電車/葉leaf
朝の電車は遠い日の裏切りのように
精密な構造を巨大な直流にひるがえして
ホームに差し込む朝陽とういういしく調和する
連動する踏切にはわずかな狂いが入り込み
電車の減速もときおり不規則であるが
その狂いや不規則さえも厳密に算出されたかのような
やさしい完璧さが朝を包み込んでいる
幾億度となく繰り返され
そのたびに新しく更新される儀式の執行において
駅に満ち溢れる光は若くやわらかい
その光を拡大して散乱するものとして
電車はこの新しさに供犠される
巨大な創世記の一節
この世に残されたたった一つの言い訳のような
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