放り出された世界の中で着地点を見つけたとき/ホロウ・シカエルボク
う
君と彼女は程なくとても内容の濃い性交をするだろう
その行為のいっさいは君をとても安らかな場所へ連れていくだろう
あれだけのことがあったにも関わらず君は初めて女を抱いたような気持になるだろう
そうしているうちに彼女の身体には新しい命が宿るだろう
そうすると君はいままでを過ごしたその地を離れて
もっと大きなものを目にしたくなるだろう
一人の人間としてとてもたくさんのことを考え始めるだろう
君はじりじりしながら子供が生まれるのを待ちながら自分で性欲を処理するだろう
その間幾人かの女が君のことを誘惑するけれど
どういうわけか君は彼女らには性欲を感じないだろう
彼女らは君を不能呼ばわりしていずこかへ去っていくだろう
そうして長い時が過ぎて子供が狭い産道を潜り抜けてきたとき
君はこれまで見知って来た世界の色が激しく濃度を増すのを感じるだろう
脆く、けたたましく眩しい命がその腕に感じられるとき
君はこれまでの雑多な経験がたったひとつの塊になったことを知るだろう
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