ひとつ 羽音/木立 悟
 

どこからか入り込んだ光が
埃の円柱のように回っていて
誰かがそれを見つめていた
ずっとずっと 見つめていた


語り部は野を通りすぎ
草に沈んだ径に迷う
過去への鍵を樹の下に埋め
咲く花を標に歩き出す


まばたきの幻の幾つかを
こぼれるままにこぼしながら
青を渡る白を見つめ
あなたは原にたたずんでいる

























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