北大病院にて/ただのみきや
 
予約時間に早すぎて
十数年ぶりに弘南堂書店へ往く
見慣れたブックオフとは違う
天井近くまで積まれた学術的古書に
おまえの目は泳いでいる
楽しい散策 わたしには
安い棚から掘り出した一冊は
1957年に出版された
詩集「光の山稜」  
詩人「盛口 襄」
少々黄ばんで
二百五十円
発売時と同じ値段

携帯を覗けばよい時間だ
広い駐車場を横切った
おまえの歩幅は広い
猫みたいに静かに歩く
生まれた病院で
手術をするのかもしれない
恐れも不安も見せず
矯正科の待合室で
おまえはスマホでゲームをし
わたしは西脇順三郎を読む

歯科衛生士に呼ばれて行ってみると
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