愛がジャガイモのようだ/ユッカ
だということがわかる。それでもお互いのあいだに分厚くそびえる、悪い空気に気づくとき、おもわず咳きここんでしまう。母を幸福にしたたくさんの思いこみを、愛せずにいる自分を、そうやってたいせつな人を試している自分の数々のことばを、なぜだろう、みじめに思ってしまうのだ。
どうして人は、思い出したいことだけを思い出すことができないのだろう。人を遠ざけることで、自分のなかにある後ろめたさも忘れてしまえる気がした。あきらめてしまいたいものが、あきらめてしまったものがあの街にはたくさんあるのに、時間がたったらそんなことも忘れて、わたしはあなたに優しい話をするのだろう。
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