「理解した」という名の復活/nemaru
 
浅草アートスクエアのタイルは中から白く発光していて
角にある喫煙所では
誰もが
夜空ノムコウのプロモを彷彿とさせた

隅田川方面に
鳴り響いた
おっさんのくしゃみに
「ぼくはここにいるよ!」と
鈴木福君の声でアテレコするタイプの
通り魔になりたいと
誰もが
願いながら
ちょっとずつ
すり減りうえはら

精神をコンプしたいと
誰もが
願いながら
できないなりの満足を
冷蔵庫のマグネットで留めていくので

口許には
少年当時の悔しさがにじみ出て
年月のおっさんはけっきょく
遠いのか
近いのかが
よくわからない
この腕の血管がミドリガメを本気で欲しがった結果なのか
よくわからない

大好きだった
音楽のベース音に
誰もが
携帯電話のバイブに似たものを感じとり
心がなんとなく
落ち着かなくなったころ

わたしの出番だ
と思ったことがない槍を
誰もが
一本抱えていて
そっと八重洲にしまってから遠くをみる
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