ある男と週末/番田 
 
人は何かをあきらめてから 
得られるものもあるのかもしれない
しかしそんなことを考えることすらすでになくなった
誰にも会うことの無くなった 暮れゆく 週末の街


来年の自分を思う 私の住む四畳半アパート
そこで年老いていく 私の体が 一人
いつしか やがて 人は皆 死んでいく
生きる希望の途絶える日もいつかはやって来る


私は人間であることに疲れて 一人
岸壁に立つ しかし すぐに疲れてしまった
そして海の果てのあるであろう場所をずっと見ていた
未来の約束されていない この国で


昔いたあの子は今は友達ではない
だけど何をしているのだろう あの子は 私のそばに確かにいた
風が吹く道を歩いていく 一体 これからどこにいく
一人 私は車のドアを開けて エンジンをかけた

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