結婚式はふたりきりで/りゅうのあくび
故郷を遠くはなれて
というより
次の故郷をもとめて
家族はまだ
ふたりきりだけど
静かに暮らす日々が
永い冬の西日みたいに
遥かな春を望むように続いて
ふたりで
寝坊ばかりしていて
君が早起きして初めて
創ってくれた
会社勤めの僕に宛てた
手造りのそぼろ弁当から
顔を出すアスパラガスは
零れる君の笑顔の味がして
彩りも香りも遠い春が
まだほんのりとしている
結婚式の替わりに
ふたりぼっちの
写真をたくさん撮りに
行ってきたばかりで
晴着の君には
やっと春が爽やかに
色差す曙に
くちづけをした
紅が焦げるように
綺麗だったよ
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