春の焼失/そらの珊瑚
小さな火種はやがて
大きく育っておもいのほか
はげしく燃えるものだから
たじろぎ
あとずさりしたボクを
キミはすこし笑った
よく燃えるね
木と紙でできた家だからね
それに……
怒りは一番燃える素材だからさ
ほら、ときおり爆発音がするだろう
キミの頬も紅く燃えていた
炎は人を魅入らせるね
それは幼いころ見た夕焼けにも似てて
夜のような焼け跡になる前に
そこから逃げ出す必要があったんだ
ボクらは
手に手をとりあい
弾む火の粉になって
空へ
跳躍した
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