@mail (生体反応の設計)/乾 加津也
 
きたら
ゆっくりとキッチンに近づく
立ちのぼる
湯気の先から消えてゆく
珈琲はないだろうか
テレビも窓もない いや 見上げれば
高い天井に細長い検索窓がある
文字カーソルがしずかに明滅している

入力を待っている







小学生の夏休みに来た朝の駐車場は
ラジオ体操の集合場所
たくさんの律儀な深呼吸が
とても浅い
わたしはみんなになれるだろうか
首に吊るすカードに
大人の押す認印の数が増えていく
朱肉がわたしを
みんなのわたしに変えていく







目を凝らして
天井の検索窓を
もう一度見る
経緯度直下で十字を打
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