冬風人/ただのみきや
風が突っ走って往く
いつか追い越して往った風たちが また
地吹雪は踊る 白いベールを靡かせて
渦巻いては解かれ素早くさらわれる
終わりなく交わされる遠吠え
異言の霊歌 あるいはレクイエム
大河のように
陰鬱な空を映しながら
どこか時折 魚が跳ねるよう
ひとすじの陽気さが紛れている
子どもの風が一人混じっているのか
きのうは向い風だった
弄られ煽られ容赦なく
頬を打つ吹雪の冷たい手
氷粒の鑢が感覚を削り取る
眼球の裏まで凍りそうで――
今朝は 追い風
すごい力で次々と背中を押してくれる
なんともありがたい
白い踊り子たちは腕を搦め
風の馬車へと誘う
いっ
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