あめのなかのとり/朧月
 
鳥は傘をささない
あめにうたれてなにかを待っている
たったひとりで待っている

どうして高いところにいるのか
まちびとは空からやってくるのか

そろそろ私の首は疲れた

鳥はひとりで平気なのに
あめに濡れて平気なのに

濡れていない私は
ひとりじゃない私は

鳥よりも心細くて
鳥よりも弱い

疲れ切ったこの首をもう
もてあましているのに
上をみることがやめられない

まちびとはくる
空から
戻る   Point(2)