ひかり/木立 悟
 



汽笛は尾を引き
遠いほうからかがやきになり
応えの兆しを耳にしながら
傷をまぶしく抱きしめている



水のかけらを見つめる間も
陰のまばたきは増えてゆく
とどろきは地平にはためいて
遠い震えを手招いている



たくさんの光が
高く高く積み重ねられ
静かにふたたびほどけてゆくとき
子らは肩の高さに腕をひらいて
ゆっくりゆっくり抱きしめてゆく
光は輪のなか降りそそぐ
小さな音たち降りそそぐ



渦へ 汽笛へ
自身から遠のいてゆくものへ
雪は応えつづけている
かがやきになり 夜になり
巨きなひとつの文字になり
街を土を描きつづ
[次のページ]
戻る   Point(3)