律儀さん/もり
 


スラウェシ島で出会った日本人は

律儀さんといった

現地民のように日に焼け

足を泥に埋め 一心不乱に

マングローブの苗を植えていた

「あんがと、あんがとねー」

それをみんなが真似してた

「アンガトアンガトネー」

ひと仕事終え

夕焼けに目を細め コーヒーをすする

ここに礼を言いに来たんよ、と言う

いつか

どん底の彼を救った 公園のかけうどん

そこに乗っていたエビ天ひとつに

ごちそうさん、を言いに来た

この次は オーストラリア 小麦畑へ

見た目とのギャップすごいやろ?

すきっ歯で 豪快に 笑う 男

「あー人生短こうて かなわんわあ」
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