沈丁花3/吉岡ペペロ
」
ひょっとして青山くんも死体と暮らしているのかも知れない。いや、そんなことをまだ若い青山くんがするはずがない。
「ぼくも実は、きのうまねしてみたんです」
青山くんが明るく言って、繁治はすこしうつむいて微笑んだ。うつむいたのは、いました失礼な妄想を反省したからではなかった。裕子ちゃんは青山くんなんかと結婚したらいいのになあ、そんなことを思うのんきな自分への自嘲だった。ほんとうにそうならないか。そうなったら姉もどれだけ安心するだろう。繁治の微笑みがくっきりとした。
「じゃあ、帰ります。お疲れ様でした。ご安全に」
繁治は微笑んだまま青山くんに手をふった。そして洗車された車に乗り込み仕事に出かけた。
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