海人「海の欠片」/花形新次
 
寄せては返す
波の切れ端を
掌に掬って
目をつむる

懐かしい潮の香り

海はいつだって
そこにあるのに
哀しい時にしか
会いに来ないで
ごめんね

でも僕は
いつも思っている
この海が全て
僕の精液で出来ていたらって

僕と鯨の関係は
今よりもっと親密なものになって

僕は
鯨人間の父親に
なっていたかもしれない

鯨人間、鯨人間

鯨人間・・・・

とても美味しそう


(海人 大和煮自称詩集「シーチワワ」より)


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