尖る/はるな
 

手際よくまるめられた種
忘れてしまう いくつもの名前
ヒニカケラレタ薬罐みたく
だんだん焦げて死ぬ

焼却炉 幼いころ 怖かったものの多くは
いまでもわたしを守ってくれる
暖房の効きすぎた保健室
とか、
校舎裏の沈丁花とか
3階から落とす合図
とか

白いタイルには触ることができる
し、蛇口をひねれば水は流れるの
で、そんなに
そんなに

尖ることはないのだ
と思っても
ときどき ねがってみたりしても
皮膚は
いちまいずつ
疑いようもなく
尖る


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