少しずつ余計に解き放たれる (逃げ惑うリミット)/ホロウ・シカエルボク
 
でもそれはよく判る…そもそも初めは書いているそのものより、書いている時の気分によって良し悪しが決まったりしていたし…自分の汚れを洗い落とすために俺は書き続けている


それは筋肉のありかたにも似ている、一度壊されてそれは大きくなる、筋肉というのは繊維の束だ、筋肉が大きくなるというのは、それを形作っている筋のひとつひとつが、太くたくましいものに変わっていくということだ、同じ動きをしながら、身体が学んでいくに任せる、もっといいやり方がある、もっと、肉体の芯に響くような―同じ動きをしていても、何かが少しずつ変わっていく、見た目も変わってくる…言葉や旋律だって同じことだ、自分にとって必要なものを得る
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