透華計/木立 悟
 





冬陽の前を
横切る行方
薄茶色の双つの背
海に落ちる水を見つめる


ひとりの葉が水を昇り
やがて季節を時間を昇る
誰もいない広場の
影だけを手に記してゆく


上へ上へと向かう物差し
光を浴びて透明になり
流れ落ちる水と共に
双つの夜を繋いでゆく


水が径に触れる時
鈴の音が鳴り響き
昇りつづける幾つかのものらは
光を透さず 反らすものとなる


雪 華 手のひら
とどまらぬかたち
空に触れては 地に還る
水に触れては 水になる


すべての音が
すべての水への別れのように
生まれ 手を振り 去ってゆく
光に波を残しながら


曇の夜 
殪れた街を口ずさむもの
無い音に隠され わずかにまたたき
川の片岸から片岸へ
水の行方を伝えつづける


















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