夜の歌/
春日線香
どんな歌がふさわしい?
草色に濁った水のまどろみ
悲鳴を含んだ鳥のおしゃべり
落ちた花の萎れる音
夜の姫君の言葉
どんな歌がふさわしい?
暗闇に響く鬼の足音
眠り続ける無数の心臓
ばらまかれた星々
夜の姫君の言葉
ああ、わたしは
わたしを生かすそのものについて
見えもしない嘘について歌おう
嘘が永遠に真実であるように
宙に走り去る響きを
まだ吸われも吐かれもしない息を
どんな歌がふさわしい?
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