恢復/葉leaf
病を得て復職してからも、私はしばらく長いトンネルの中を歩き続けた。私の関心は己の傷ばかりに集中して、社会や人間に対する根本的な不信がぬぐえなかった。些細なことで傷ついては暗澹たる気持ちになり、自分は理解されていない、疎外されている、そんな気持ちでいっぱいだった。そういう社会や人間に対する対抗心で、私はかろうじて生き延びた。
私の視野はトンネルの闇の中に限られてしまっていた。そこを通り過ぎるたくさんの車たちも、ライトで私を傷つけながら、高速で逃げ去っていくばかりで、私を包み込んだり励ましたり理解したりということは全くなかった。私は己の傷というトンネルの中で、ただ、またどんな被害に襲われるか
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