カーテンの内側で/番田
不安な時代の中だった
人は生きている 不安の中を
人は生きている 何を消費することもなく
悲しく並べられた商品の中で私も生きていた
アメリカの黒人は35歳までに自分が死ぬと考えているらしかった
日本ではあまり考えられない 黒人の人たちの生活
日本ではあまり考えられない貧困と隣りあわせの生活
私は 想像できなかった アメリカという国の中で
生きていくことは 大変なことだと 頭のなかで想像する
だからあのような魂を震わす歌が生まれるのだ そう
だからあのような堂々とした詩が書かれるのかもしれないのだ
そんなことを考えていた 私は 目を閉じる
ネットよってだけ知られる誰かの叫び声みたいだと思っていた
見たことのない人たちの書き込み 誰にも知られることのない
そんなものを消えそうな思いで通り過ぎながら 私は床につく
明日も私は電車に乗るのだろう 行くあてのない人の流れの中を
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