サイコ炉/坂之上放肆
朝陽が磨りガラスの粒を浮き出しにして
部屋の中のストーブに人肉の温もりを感じた君が
眠たげな声を消え入りそうに布団の中にくぐもらす
僕はといえばただお腹を空かせた肉食獣のように
怪しい気持ちを抱きながらこの布団に戻らず
僕は今日も詩を書くんだ労働を忘れて
毎日詩を書いていくんだよとPCを叩く
狂ったようなTVの叫び声を心で一つ一つ潰しは潰して
そして中断された詩作は今この昼の
君が狂ったように乱打される
サイケデリックトランスを聴く中で再開されはしたけれども
畢竟、この詩作は欲に任せた淫らな空耳のようなものに敢然と
立ち向かう術は最早なく
空き瓶の中身の様な幽霊が取り憑きこの詩をただ此処におく
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