かわいそうなあたし/花形新次
きちんと働いていて
金稼いで
嫁さん、子供を
何の不自由もなく
食わせていて
天才の発露として
やっと見つけた場所
そこは
病人がお互い
肩を寄せあって暮らす
グループホームだった
グループホームなら
グループホームでいい
しかし、このグループホームの連中は
当たり障りのない関係性を築き
他人に自我を絶対に汚されない
環境を整えた上で
何の価値もない自称詩を
さも素晴らしいもののように
お互い誉めあって
今まで不幸だった自分自身を
解放した気になっている
冗談じゃない!
言葉に真摯であろうとする者に対して
これ以上の冒涜はないだろう!
俺の天才は
ここに埋もれて行くのか
そう思うと
不意に涙が零れた
誰か、
俺を、
俺の天才を、
覚えておいてくれ
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