闇に待機する詩人/坂之上放肆
暗い部屋で見えるものはただのパソコンの液晶です
そこに僕はカタカタ文字を置いていく
こそばゆい様な待ち時間をこうやって
僕はカタカタと文字を置いていく
恋人を待ち続けてすっかり暗くなってしまったけれども
このパソコンの液晶だけは明るく僕の目を焼くんだろうなと
焼かれた僕の目はただ置かれた文字を追っていく
窓の外からは部屋より明るい闇が部屋の洗濯物の輪郭を浮かす
生きているっていう実感なのかなこの闇がね
この闇のなかでいつしか僕も闇になるのかな
飽くまでも闇に溶けていって病んでいっても
ひたすら生きている僕に迷いはないのだろう
なるべく音を立てず
イヤホンでエド・シーラ
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