祝祭/
桜鬼弓女
君の爪に描かれた天使 ゆらゆらと微笑をふるわせる
祝福された十本の指が リコーダーの表で躍る
神の舟に選ばれた音叉 りらりらとルソーをくるわせる
縮尺された出奔の姫が シャルトルーズの小瓶のなか睡る
万象に満ちたる琥珀 太陽のはらからを襟元に留め
天蓋の久遠をしめす瑠璃 たなごころの宇宙を小箱に詰め
月の色した百合を 玻璃のかめにあふれさせて聴こう
ぼくらの初子が奏でる おぼえたばかりの練習曲
この界をぬりかえる たったひとつの福音の笛の音を。
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